
ベルリン在住のグラフィックアーティスト・マスコユカが、松戸市のアーティスト・レジデンスPARADISE AIR と共同で行う、市民参加型のアートプロジェクト「青春マツドライン」。松戸に暮らす皆さまの「青春の記憶」をアンケートで集め、その声から得たインスピレーションをポスター作品として松戸駅に掲示します。第一号は 2025年10月スタート。爽やかさ、切なさ、甘酸っぱさ——あなたの中にある青春の一瞬をぜひお寄せください。
参加型プロジェクト
あなたの「青春の思い出」をぜひ聞かせてください。アンケートは 1分で回答可能・匿名 です。ご協力いただいた方には、オリジナルスマホ壁紙をプレゼント!あなたの答えが、松戸駅の大きなポスター作品に反映されます。
Project
日本の青春文化をめぐるコンセプトを起点に、アートブック・展示・ワークショップなどへと表現を広げていく、ドイツ発のマルチフォーマットなアートプロジェクトです。

松戸に滞在して3週間。朝の涼しい風を浴びながら江戸川沿いの堤防を散歩するのが楽しみでした。市街を歩くと、小川とそれを渡る橋の多さに気づきました。川はやがて海に注ぎ、さらに遠く、松戸から9,000km離れたドイツへと繋がっていきます。第1号の作品は、こうした滞在中の気づきをもとに生まれました。浮かんだイメージを日々即興的に描き、学生時代のプリクラ帳やシール帳にステッカーを貼る感覚で、川の周囲にモチーフを散りばめています。そこには、この街のどこかで部活に打ち込む高校生や想像上の学校だけでなく、川の向こうに住む大切な人を想う気持ちも込めました。私にとっては、例えば「相合傘」のモチーフ。傘の柄1本が隔てるささやかな距離感と、傘の下で共に包まれる親密さ。そのイメージが、川の流れと重なりました。

ドイツと日本の「青春」
- その1 夏休み定番の過ごし方 -
| 活動 | 🇯🇵 日本 | 🇩🇪 ドイツ |
|---|---|---|
| 勉強 | 夏合宿・夏期講習 | 家で自習・家庭教師 |
| 娯楽 | マンガやゲーム | 地元の湖で泳ぐ・サイクリング |
| イベント | 花火大会、祭り | パーティー |
夏休みの宿題が多いのは日本もドイツも同じです。でも、ドイツには日本のような受験制度はなく、塾や予備校もありません。その代わりに家庭教師を頼むことが多いんです。夏休みは家でのんびり過ごすこともありますが、部活動がないので、家族や友だちと一緒に自然の中で遊んだりアクティビティを楽しむことがよくあります。

松戸市に住むさまざまな世代の方々から「青春の思い出」を集め、それをもとにポスター作品として描き出す、市民参加型のアートプロジェクトです。私は現在ドイツ・ベルリンに在住し、現地で子どもたちへのアートワークショップや日本語学校での指導を行う中で、日本の「青春文化」について改めて考える機会を得てきました。日本の青春文化は、学校生活の中で部活動や勉強に全力を注ぐ体験を軸に、友情や恋心、挫折や達成といった感情が交錯する特有のものです。そうした経験は、大人になっても情熱や生きる力の源として私たちに息づいています。海外でも注目されている「IKIGAI(生きがい)」という言葉。その源には、この日本の青春時代があるのではないかと私は考えています。「青春」という集合的な記憶を共有することで、私たちは再びエネルギーや情熱を思い出し、明日を生きる力につなげることができる。川や電車のように、人と人を結ぶプロジェクトにしたい──そんな思いを込めて、ユーモラスに「青春マツドライン」と名付けました。

1991年神奈川県生まれ。ベルリンを拠点に活動するグラフィックアーティスト。
家や白い犬、テニスボールなど日常的なモチーフを、楽譜を思わせるグリッド構造の中に配置し、遊び心あふれる情景を描く。子ども時代の画材を用い、偶発性を取り込みながら即興的に描くことで、日常を新しいまなざしで再構成している。

supported by PARADISE AIR
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